ブログ記事

ゆすはらスタッフブログ
安藤 真太朗 2014年04月30日
慶應義塾大学 先導研究センター
特任助教 安藤 真太朗
「ゆすはら健康長寿の里づくりプロジェクト」には、慶應義塾大学 伊香賀研究室の学生たちもたくさん参加しています。
東京から、電車や飛行機、レンタカーを使って、遠く四国の山里、梼原に通い詰め、地域の方たちとの交流を深めながら、さまざまな調査研究に励んでいます。
そこで、そんな学生の皆さんから、日頃の調査のこぼれ話や、梼原でのエピソードなど、いろんな思いをブログ形式でつづってもらうことにしました。

第1回は、学生たちのリーダー的存在の安藤真太朗さん。
研究室と町の人々とのパイプ役として奔走する安藤さんが抱く、梼原への熱い思いとは−? 画像
 安藤真太朗です。
 2014年3月に博士課程を修了し、4月より特任助教という役職を仰せつかりました。

 神奈川県横浜市の慶應義塾大学矢上キャンパスに本拠地、伊香賀研究室はあります。横浜駅から20分、渋谷駅からも25分と大変便利な立地です。しかしながら、私共がお世話になっている梼原町を基準といたしますと、電車と飛行機と車を乗り継いで移動距離約800km、時間にして6時間ほどの場所となりますので、少々不便な場所かもしれません。それでも私たちは、実際に現地に入り、顔と顔を合わせること、現状を目で確認することを重視してきました。

 それを示す一つの指標がこれまでの訪問回数です。60回以上という伊香賀教授には到底及びませんが、私もとうとう30回に到達し、2013年に至っては一ヶ月以上も滞在しています。
 それほど入り浸りますと少しずつ感覚も変わってきます。
 定宿「農家民宿 いちょうの樹」ではまるで実家にいるかのようにもてなしていただき、町内を出歩いてみると、顔見知りとなった方々からお声かけいただくこともしばしば。「昨日、○○さんのお家を訪問してたでしょ」と声をかけられ、視野の広さと口コミの早さに面食らう場面もありました。気にかけていただいているということですから大変ありがたい限りです。若い大学生ばかりの研究室内ではおじさん扱いでも、梼原町ではまだまだ若者扱いをして頂けるのも、またまたありがたい一面です。このように私にとってホームタウン以上に温かく、ある意味“最も悪さをできない町”が梼原町と言えるかもしれません。(もちろん悪さなどいたしませんが…)

 私は、主にこのプロジェクトにおいて、研究実施者ら、つまり大学と梼原町のつなぎ役を担っています。日程調整や連絡の取り次ぎ、調査分析手法の検討といった業務が中心ですが、私の一番の役目は、大学と梼原町の方々のちょっとしたズレを修正することであると認識しています。
 このズレとは、文化の違いに起因する感覚や認識の行き違いといえばよいでしょうか。例えば“ちょっと”という言葉へのズレを経験しました。
 ―「その施設なら、この道をここから“ちょっと”行ったところだよ。」
これは、携帯の電波も入らない山道で、道を聞いた際のご返答です。車を走らせた結果、この“ちょっと”は5分やそっとではなく、20分以上もかかる場所でした。
 このようなズレは日頃の感覚や運転技術の違いにより生まれたものですので、誰かに問題があるわけでもありません。しかしながら、こういったちょっとしたズレが時に障壁となる場合があります。先ほどの場合ですと、15分進んでも施設がないことに不安になり、一度引き返して再度道を聞きなおした経緯があります。
 このような事例は、特に、東京生まれ東京育ちの学生にとって多くなります。「駅がないって本当ですか?」「浴室・トイレが外にあるってどういうことですか?」等、私も驚くような発言も少なくありません。そのような経験もなければ、想像もできないのです。このような点については、幸いにも私が四国出身ですので自身の体験等を説明しながら、場合によっては住民の方へのヒアリングを重ねながら、少しでもズレを小さくできるようにお手伝いをしています。 画像
 梼原町の魅力は、町民の皆さんが夢や役割意識をもって生活されていることではないかと実感しています。時に頑張りすぎて無理をなされていらっしゃらないか憂慮する場合もありますが、それぞれの方が強い責任感をもって町のために若い世代のためにと思いを寄せて頑張っていらっしゃいます。それが結果的に、町の環境保護だけでなくご自身の健康にも繋がっている稀有な例が梼原町なのではないでしょうか。
 「わたしのとなりには、先生がいっぱい」というようなCMがあります。多くの町民の方々は謙虚さ故に気づいていらっしゃらないのですが、その御姿は先生と呼ぶに相応しい御手本であり、今後の日本のあり方を考える上で強いメッセージを備えていると確信しています。先ほどの学生の例ではありませんが、梼原町の熱心かつ先進的な取り組みは、他の市区町村にとって驚きに満ちたものです。しかしながら、梼原町の取り組みを知っている町は僅かではないでしょうか。
 都市部が地方都市に伝える時代が長らく続いてきましたが、これからは地方が都市に見本を示していく時代なのかもしれません。高齢化という世界最先端の重要課題に対して、梼原町のようなまちはある意味、先進国ならぬ先進都市と云えます。先進都市、梼原町の先生方の努力、そしてその成果を目に見える形(データ)で示すことで、梼原町の先進的な活動のモチベーション維持・向上と更なる発展、さらに他の市区町村への普及・啓発に役立てていただけるよう、引き続き微力ながら力添えさせていただく予定です。

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